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【アスカの豆知識 Vol.28】
 家族信託とは?

認知症になると、安全面や法律上の理由から銀行口座が凍結され、本人や家族でも自由に預金を使えなくなることがあります。

 

医療費や介護費用の支払いに影響が出てしまうことも少なくありません。

 

認知症による銀行口座のトラブルを防ぐ方法として注目されているのが家族信託です。

本人が元気なうちに契約を結び、信頼できる家族に財産管理を託しておけば、判断力が低下しても生活資金を計画的に使えるよう備えられます。
本記事では、家族信託の仕組みや始め方、注意点について詳しく解説します。

 

認知症になると銀行口座はどうなる?

認知症になると、安全面や法律上の理由から、銀行が口座を凍結することがあります。本人や家族でもすぐにお金を動かせなくなり、医療費や介護費用の支払いに影響が出てしまうこともあります。


銀行が口座を止めるのはどうして?

銀行が認知症の方の口座を凍結する大きな理由は3つあります。
まず、預金を引き出す際には必ず本人の意思確認が必要であり、重い認知症で判断力が低下すると、意思表示が難しくなります。次に、取引を安全に続けるためです。例えば、お金を引き出したことを忘れ、「預金がなくなった」と窓口に申し出るケースがあり、トラブル防止のために口座を止めます。

 さらに、家族間の争いを避ける目的もあります。介護費用や生活費の使い道をめぐり相続人同士で疑念が生じると、銀行も巻き込まれる可能性があるためです。


銀行口座が凍結されてしまうケースとは

銀行口座が凍結されるきっかけは意外に多くあります。
例えば、家族や配偶者が窓口で「本人が重度の認知症」と伝えた場合や、キャッシュカードの磁気不良で窓口対応が必要になった際に、判断能力の低下が確認されるケースです。
また、ATMで一度に高額を引き出したり、数日間にわたりまとまった金額を出金すると、特殊詐欺の疑いから窓口対応を求められ、結果として凍結に至るケースも少なくありません。銀行は、本人に直接意思確認を行い、判断力に問題があると判断すると、成年後見制度の利用を案内することがあります。


家族でも銀行口座が使えないことも

認知症による口座凍結は、家族であっても例外ではありません。配偶者や子どもであっても、自由に預金を引き出すことは出来なくなります。医療費や介護費用の支払いが急に必要になっても、必要な手続きが完了するまでは資金を動かせず、生活費や税金の支払いにも影響が出る恐れがあります。
2021年から全国銀行協会の指針により、入院費や介護施設費用など明確な用途がある場合は、書類を揃えれば家族による引き出しが認められる可能性がありますが、請求書や続柄の証明など条件は厳格です。銀行口座を継続的に利用するのは、成年後見制度の活用が原則となります。

 

家族信託が頼りになる理由とは

家族信託は、認知症や相続のときに起こりやすい資産管理のトラブルを防ぐ方法として、近年注目されています。


認知症になった後も必要な資金を使える

家族信託は、認知症によって銀行口座が凍結されても、生活費や介護費用を滞りなく使えるようにする仕組みです。

 

契約時に受託者を決めて財産管理を任せておけば、本人が判断できなくなった後でも、受託者が契約内容に沿って資金を引き出し、支払いに充てられます。成年後見制度のように家庭裁判所や監督人の関与が無いため、介護施設の利用料や医療費、日常生活の出費にも柔軟かつスピーディに対応出来ます。


元気なうちに財産の使い道を決められる

家族信託では、契約時に財産の管理方法や将来の使い道を細かく決めることができます。例えば「介護施設の費用に充てる」「自宅を維持するための管理費に使う」「死亡後は特定の子どもに不動産を渡す」といった希望を文書にしておくことが可能です。遺言と違って、契約後すぐに効力が発生し、本人が元気なうちも判断力を失った後も有効です。
相続時の話し合いで揉めてしまう心配を減らしつつ、認知症で銀行口座が凍結された後も、予め決めた通りに財産を活かせます。


成年後見制度よって柔軟に動ける

成年後見制度では、家庭裁判所が選んだ後見人が財産を管理しますが、使い道が限られ、本人の利益に直結しない支出は認められにくいのが実情です。家族信託なら、契約で定めた範囲内であれば受託者が自由に資産を動かせます。裁判所の監督や細かな報告義務がなく、費用や手間も少ないため、状況の変化に合わせて柔軟な対応が可能です。
介護サービスの追加や施設変更、家の修繕などもスムーズに行えるため、認知症による銀行口座の凍結で生活資金が滞るリスクを抑えられます。

 

家族信託、どのように始めれば良い?

家族信託を始めるときは、まず誰に何を託すのかをしっかり決めることが大切です。そのうえで、契約内容や管理方法を具体的に整えていく準備を進めましょう。

誰に何を託すかを家族で話し合う

家族信託を始めるときは、まず「財産を持つ委託者」「財産を管理する受託者」「利益を受け取る受益者」といった役割を家族で決めることが大切です。例えば、預貯金を信託して老後の生活費や介護費用にあてる場合は、受託者には信頼と管理能力が求められます。
万が一受託者が先に亡くなったときに備えて後継受託者を決めておくことや、受託者の行動を見守る信託監督人を置くのも安心です。
認知症による銀行口座凍結を防ぐためにも、役割分担や将来の引き継ぎ計画をしっかり話し合っておきましょう。


公正証書にしてトラブルを防ぐ

家族信託契約書は、公証役場で作る「公正証書」にすると安心感が高まります。公証人が委託者本人の意思や判断力を確認して作成するため、他の相続人から「勝手に作られた契約だ」と疑われる心配が減ります。さらに、公正証書は銀行で信託専用口座を作るときの証明書類にも使えます。認知症による銀行口座の凍結を避けるためにも、公正証書で契約内容をはっきり残しておけば、後々のトラブル予防につながります。


信託専用口座で資産を分けて管理する

家族信託でお金を管理するときは、受託者名義の信託専用口座を開き、委託者から預かったお金と自分のお金をきちんと分けて管理します。資産を分けて管理することにより、お金の流れが分かりやすくなり、不正利用や管理ミスを防げます。公正証書があれば、銀行で「信託口口座」を作れることもあり、受託者が破産や亡くなった場合でも財産が保護されます。認知症で銀行口座が凍結されても、信託財産は契約通りに使えるので、生活費や介護費用の支払いが滞る心配を減らせます。

 

家族信託を始めるときの注意点

家族信託を始めるときは、契約の条件や流れをよく理解し、後から困らないよう準備しておく必要があります。費用や期間、契約後の制約についても事前に把握しておきましょう。


契約できるのは「本人がまだ元気なうち」だけ

家族信託は、委託者が自分の意思で契約内容を理解し、判断できる状態でなければ始められません。認知症を発症して銀行口座が凍結されてしまうと、もう契約は出来なくなります。契約が本人の意思に基づいて行われることを法律が求めているためです。将来の財産管理や生活費の確保を考えていても、症状が進むと「判断能力がない」と判断され、手続きは進められません。だからこそ、体力や判断力に余裕があるうちに、家族や専門家と相談しながら契約しておくことが安心につながります。


専門家に頼むならお金と時間が必要

家族信託の設計や契約書作成には、法律・税務・登記など幅広い知識が必要になります。そのため、弁護士や司法書士など専門家に依頼することが多く、初期費用として50万〜100万円ほどかかるケースもあります。さらに、公正証書の作成費用や不動産の信託登記費用なども別に必要です。
専門家探しや契約内容のすり合わせには時間もかかり、契約開始まで数週間から数か月かかることも珍しくありません。銀行口座を開設する際に公正証書の提示を求められることもあるので、事前に費用とスケジュールを把握しておくことが大切です。


一度始めると途中変更は難しい

家族信託は長期間続く契約になることが多く、一旦開始すると内容を変えるのは簡単ではありません。受託者や財産の使い道を変える場合、受益者全員の同意や新たな契約手続きが必要になります。契約期間中に家族構成や生活環境が変わっても、柔軟な変更は難しく、場合によっては解除も困難です。特に20年以上続く契約では、当初の想定と実際の状況が大きく変わることもあります。
家族信託を始めるときは、将来の変化もある程度見越して内容を決めておくことが大切です。

 

まとめ

認知症による銀行口座の凍結は、生活費や介護費用の確保に大きな影響を及ぼすことがあります。家族信託は、元気なうちに信頼できる家族へ財産管理を託すことで、判断力が低下しても計画的に資金を使えるため、有力な選択肢となるでしょう。ただし、契約には専門的な準備や費用、時間が必要で、途中変更も容易ではありません。将来の暮らしを見据えて早めに備えておくことが大切です。安心して暮らし続けるためには、資産管理だけでなく、日々の生活環境や介護体制についても考えておく必要があります。もしも家庭的で安心できる環境の中で介護サポートを受けながら生活したい場合は、住宅型有料老人ホームといった選択肢を検討してみるのも良いでしょう。

 

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